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婦人科的な悩み妊娠中の不安内科的な病気
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不妊症−1

不妊症についての基本的な事柄、不妊症の検査について説明しています。

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 不妊症について

不妊症とは避妊せずに夫婦生活を営み
2年経っても妊娠に至らない場合をいいます

 不妊症とは、避妊をせずに妊娠をトライして2年を経過しても妊娠に至らない場合をいいます。日本では2年としていますが、海外では1年を経過したら不妊症とするところも多く、また年齢によっても考慮が必要となるため、厳密に2年と決めつける必要はありません。当然、自然妊娠を不可能とする明らかな原因があれば、妊娠をトライした期間の長さに関わらず不妊症と診断されます。

不妊の原因を持っている確率は男女でほとんど差がありません

 不妊症の原因を男女別にみると、原因が女性にある場合が35%、男性30%、両方にある場合20%、不明が15%となり、だいたい男女で差がありません。

妊娠するためには卵巣・卵管・子宮・精子の状態が重要です

 妊娠が成立するには、いくつかの条件が必要なります。その条件が一つでも完全に障害されていると自然妊娠は望めません。(右の図を参考にしながら読み進めてください)

1.卵巣にある卵胞という卵子を包むカプセルが成長し、排卵が起こる
(排卵:卵子が卵巣の外に飛び出すこと)

2.卵胞から変化した黄体がしっかりと黄体ホルモンの分泌を始める
(黄体ホルモン:プロゲステロンと総称され、子宮内膜を成熟させたり子宮収縮を抑制したりする作用がある)

3.排卵した卵子が卵管に取り込まれる

妊娠が成立するには

4.卵管で卵子と精子が一つになる(受精)

5.受精した卵子(受精卵)が卵管を通り、子宮内膜にくっつく(着床)

また受精のために卵管まで上って来れる精子は無数にある精子のごく一部です。したがって、精子にも条件があります。

6.十分な数の精子が腟内に放出される

7.多くの精子が 頚管粘液を通過できる。

 この中のどこかがうまくいかないと、妊娠に至りません。つまり、その障害されているところが、不妊症の原因になります。
 なお、妊娠はするけれども流産を繰り返してしまうことを習慣流産(不育症)とよび、不妊症とは別の状態として分けられています。
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 不妊症の検査

妊娠するために必要な卵巣・卵管・子宮・精子を中心に検査します

 不妊症の検査としては一般的に次の検査をします。下に挙げる基本的な検査は全て外来で出来るもので入院の必要はありません。

  1. 基礎体温測定
  2. ホルモン検査
  3. 超音波検査
  4. 子宮卵管造影検査/通気・通水検査
  5. 精液検査
  6. 頚管粘液検査
  7. 性交後検査(ヒューナーテスト、フーナーテスト)

1)基礎体温測定

基礎体温は主に
排卵しているか黄体の機能は問題ないかの判断に使います 

基礎体温は朝目覚めた時に、すぐ舌の裏に体温計を入れて測定します。動いてしまうと体温が上がってしまうため動き出す前に測らなくてはいけません。体温計は普通にわきの下で測るものとは違い、目盛りの細かい婦人体温計を使います
  仕事などで生活が不規則な人では朝でなくてもかまいませんが、最低5時間以上の睡眠はとってからにして下さい(もちろん朝測定する時でも、その前にしっかり睡眠をとらなくてはいけません)。

基礎体温に影響する因子

  • 睡眠時間、睡眠環境
  • 仕事内容・運動などの生活環境
  • 季節・エアコンなどによる気温の変化
  • ダイエット、アルコール、薬物、病気などによる体調の変化

典型的な基礎体温パターン

低温相の間、卵胞が発育
低温相最終日周辺で排卵
排卵後、卵胞が黄体に変化
黄体からプロゲステロン分泌
体温上昇
典型的な基礎体温パターン

 卵胞が成熟し排卵が起きると、卵子を吐き出した卵胞は黄体というものに変化します。黄体から出る黄体ホルモン(プロゲステロン)には体温を上げる働きがあるので、排卵すると体温が上昇します。黄体には寿命があり、妊娠しなければ約2週間で無くなってしまいます。黄体が無くなると、プロゲステロンが作られなくなり体温が下がって生理となります。
  なお、妊娠が成立すると黄体の寿命が延び、体温は下がりません。黄体は妊娠初期の間、流産にならないようにがんばり続けます。高温相が2週間以上続けば妊娠の可能性が高くなります。

基礎体温の異常

a)体温が上がらない排卵障害

 排卵が起きていない可能性が高い状態です。つまり排卵障害が不妊の原因である可能性があります。

排卵障害の基礎体温

 このままでは妊娠はしませんが、排卵障害だけが原因の時は、薬剤などの治療で排卵させることができれば比較的高い妊娠率が期待できます。
  排卵障害の時は、 さらにその原因を調べていく必要があります。ホルモン採血やホルモンの負荷試験(ホルモンを注射して、注射前と注射後に1〜4回採血をする検査)、超音波検査などを行います。

排卵障害のページ

b)高温相が短い・不安定
黄体機能不全

  • 高温相が10日以下
  • 低温相と高温相の差が0.3℃以下
  • 高温相の途中で体温が下がる
黄体機能不全の基礎体温

 このうちのどれか一つでも当てはまれば、黄体機能不全の可能性があります。ただし、黄体機能不全は基礎体温表だけでは判断できないこともあります。
 黄体機能不全があると不妊症の原因だけでなく、妊娠しても流産してしまう原因にもなります。黄体機能不全は基礎体温表の他にプロゲステロンの測定(採血)、超音波検査による子宮内膜の厚さの確認、場合によって子宮内膜の組織検査などを行って診断します。

黄体機能不全のページ

基礎体温表によるタイミングのページ

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2)ホルモン検査

ホルモン検査は主に卵巣の機能を評価するために行います
検査するホルモンによって測定する時期が決まっています

 ホルモン検査は排卵障害や黄体機能不全の原因となるような病態がないかどうかの判断や多のう胞性卵巣症候群の補助的な診断のために測定します。
  卵巣の機能は脳からの命令によって調整されています。脳の視床下部というところが体内のエストロゲンの状態を判断して脳の下にくっついている下垂体というところにGnRH(LH‐RH)というホルモンで指令を出します。指令を受けた下垂体はさらに卵巣に対してLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)という2種類のホルモンを出して卵巣を刺激します。

卵胞が成長するためのホルモンの状態

 LHやFSHによって卵巣では卵胞が成長しエストロゲンを分泌したり、黄体期では黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌したりしています。 これらのホルモンの他に卵巣の機能に影響を与えるホルモンとしてプロラクチン(PRL)や甲状腺ホルモン、男性ホルモン(テストステロン)があります。以上のようなホルモンを測定することで卵巣の機能を評価しますが、ホルモンの値は生理の周期によって変動するため測定する時期が決まっています。

ホルモン測定の時期

  • 生理の2−7日目:LH, FSH, PRL, エストロゲン, テストステロン
    ・・主に卵巣の機能の評価
  • 排卵直前:LH(血液あるいは尿)
    ・・排卵時期判断の補助
  • 高温期の中間頃:エストロゲン, プロゲステロン
    ・・黄体機能の評価
  • いつでも:甲状腺ホルモン

ホルモンの異常

排卵障害のページ
黄体機能不全のページ
高プロラクチン血症のページ
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)のページ
甲状腺機能低下症のページ

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3)超音波検査

超音波検査は子宮や卵巣の形態の異常、
子宮筋腫・子宮内膜症の有無などを確認します

  不妊症では通常膣からの超音波検査を行います。膣に挿入する分、抵抗はあると思いますがお腹からの超音波よりたくさんの情報が得られます。右の図のようにお腹からの超音波だと子宮や卵巣までの距離が遠く、また腸が邪魔をしてよく見えないことがあります。
  超音波検査では子宮・卵巣に形態的な異常や妊娠に影響するような子宮筋腫、子宮内膜症の有無などを確認します。
  また治療の過程では卵胞の大きさをみて排卵時期の推定を行ったり、排卵したかどうかの確認をしたりするときにも行います。

不妊症の超音波検査

超音波検査でわかること

卵巣の状態

  • 卵巣のできもの
  • 多のう胞性卵巣
  • 卵胞の成長の状態
  • 卵胞の大きさによる排卵時期の推定
  • 排卵したかどうか
子宮の状態
  • 子宮筋腫の有無
  • 子宮内腔の異常
  • 子宮内膜の状態
  • 子宮の奇形

 他に周囲に癒着がないか、卵管は腫れていないか、子宮内膜症の疑いはないかなど、情報はたくさん得られます。もちろん妊娠した時も超音波で確認することになります。

子宮筋腫のページ
子宮内膜症のページ

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4)子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査は主に卵管が開通しているかどうかをみる検査です

 卵管がしっかり開通しているかどうかをみる検査です。
 妊娠の可能性がない時期(生理開始から10日めまで)に行います。右の図のように子宮の頸管部分(膣と子宮内膜の連絡部)に管を入れて、X線(レントゲン)で確認しながら造影剤を入れて行きます。
 子宮の中に圧力がかかるので多少苦痛を感じます。卵管がつまっている場合は診断のため、徐々に強く造影剤を入れていきますので苦痛も強くなります。時にはこの検査で軽い狭窄や閉塞がよくなることもあります。
  子宮卵管造影検査を行うだけで妊娠率の上昇が期待できるとされていますが、その効果は検査後半年から1年以内に限られます。

子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査でわかること

  • 卵管が狭くなったりつまったりしていないか、卵管が腫れていないか
  • 子宮内に腫瘤がないか、子宮内が狭かったり、奇形などがないか
  • 卵管に癒着はないか

 卵管がつまる主な原因はクラミジア感染症淋菌感染症子宮内膜症です

通気・通水検査

 子宮卵管造影検査はレントゲン施設がないと行えないことから、レントゲン施設のないクリニックなどでは代わりに通気・通水検査を行うことがあります。通気検査は子宮卵管造影検査のように子宮の中に管を入れた後、そこに専用の機械を使用してガスを入れながら注入圧を測定して圧のパターンとガスがおなかの中に漏れるときの音を聴診器で聞いて卵管が詰まっていないかどうかの判断をします。通水検査はガスではなく生理食塩水を子宮内に入れて腹腔内に生理食塩水がたまってくるかを確認します。この時超音波検査を同時に施行することで子宮内に突出している子宮筋腫やポリープをよく観察することができます(ソノヒステログラムといいます)。また、生理食塩水の代わりに超音波造影剤を使用することで卵管の状態をレントゲンを使用して行う子宮卵管造影検査と同様に評価することもできますが、しっかり検査できるかどうかは卵管の位置に左右されます。

クラミジア感染のページ
淋菌感染のページ
子宮内膜症のページ

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5)精液検査

不妊症の原因の30-50%は男性に原因がありますので
男性も検査を受ける必要があります

 精液検査は病院に来る直前に用手法(マスターベーションのこと)にて精液を採取して病院に持って行きます(不妊専門のクリニック、病院の不妊外来などではクリニック・病院内に精子を採取する部屋があり、そこで採取することもあります)。あまり混入物が多くなければ、どんな方法でもそれ程支障はないと思われますが、コンドームを使用すると運動率が低下することがありますのでコンドームは使用しないようにします。
  精液を採取する時には、その前に最低でも2日間(2−7日間)禁欲期間をおいて、その間射精をしない必要があります。容器は病院でもらえます。精液を採取してから2時間以上経過すると精子の運動が鈍ってしまう可能性があるので、なるべく2時間以内に検査を受ける必要があります。
  検査は採取した精液の量、精液中の精子の濃度、精子の運動能力、精子の形などを測定します。正常値は下に示します。もし家に顕微鏡があるなら、精液を20分くらい室温に放置してから顕微鏡で除いてウジャウジャ動いている精子が見えれば、正常形態率以外ほとんどは大丈夫です(もちろんちゃんと医療機関で検査を受けることをお勧めはします)。

精液検査の正常値

精液量
1.5ml以上
総精子数
3900万匹以上
精子濃度
1500万匹/ml以上
総運動率(運動している精子の割合)
40%以上
前進運動率(高速に直進する精子の割合)
32%以上
生精子率(生きている精子の割合)
58%以上
正常精子形態率(正常な形をした精子の割合)
4%以上

精液検査でわかること

  • 男性側の不妊の原因の有無について
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6)頚管粘液検査

子宮頚管の粘液が
排卵前に精子が通れるような状態になっているかを確認する検査です

 子宮頚管の粘液はふだんは子宮にバイ菌などが入り込まないように栓をしているような感じになっていますが、排卵前の時期にだけ水っぽうくなり精子が通れるようになります。子宮頚管の粘液が排卵前にそのような状況になっているかどうかを確認するのが子宮頚管粘液の検査です。後述する性交後検査と同時に確認することもあります。

排卵期の頚管粘液
透明な鼻水のようなかんじ
 精子が泳いで通れる

排卵期以外の頚管粘液
グミのような感じ
 精子が通れない

 排卵期の頚管粘液の状態を確認する検査です。子宮頸管からシリンジ(針のついていない注射器)などで頚管粘液を採取して量や性状を確認し、また乾燥させて顕微鏡でみることで排卵時期の目安にもなります(排卵時になると植物のシダのような結晶が密集して見えます)。

不妊症の頚管粘液検査

 頚管粘液の性状が異常の時にはホルモンの状態や子宮頚管の感染などを他の検査なども参考にして確認していきます。

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7)性交後検査(ヒューナーテスト、フーナーテスト)

精子が頚管粘液中を元気に泳いで
子宮内に到達できているかをみる検査です

 妊娠するためには膣内に射精された精子が受精するために子宮・卵管を登っていかなくてはなりません。その時の第一関門である子宮頚管を精子がしっかり登っていけているかどうかをみるのが性交後検査です。
 検査は性行為をしてもらい、その後病院に来てもらいます。頚管粘液を頚管粘液検査と同様に採取して、頚管粘液内で精子がしっかり動いているかどうかをみます。いつ性行為をすればよいかについては、病院によってまちまちです。早すぎればまだ頚管粘液まで精子が上って来ていないことがあり、また抗精子抗体が精子の運動を妨害し始めるのに6時間くらいかかることがあるため早すぎると異常を見落としかねません。遅すぎれば元気な精子はみんな子宮内まで行ってしまっていることになります。したがって性行為の時間に関しては、一般的には午前中の受診なら前日の夜遅くに、午後の受診なら早朝というふうに指示されるのが一般的と思われますが未だに一定の基準がないのが現状です。

 頚管粘液の状態が排卵時の時の水っぽい状態でないと本当は正常な人でも異常と判断されてしまうこともあります。異常がでた時には何回か繰り返し施行します。頚管粘液内で精子が動いていないようであれば、(精液検査正常なら)頚管粘液内に精子の運動を妨害する物質が存在している可能性があります(抗精子抗体といいます)。

性交後検査が異常となる原因

  • 頚管粘液に精子の運動を妨害する物質(抗精子抗体)が存在
  • 頚管粘液の状態が悪い
  • 精子が少ない
  • 性交がうまく行われていない
  • 検査の時期が悪い

性交後検査でわかること

  • 免疫性不妊の可能性について
    (免疫性不妊:精子の運動を攻撃してしまう物質など体の中に妊娠を邪魔する物質が出来てしまう不妊)など
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