卵胞を成長させるために、ふだん下垂体からでているホルモンと同じ働きを持つ注射を使います。最初にHMGという注射(ヒュメゴン、パーゴナル、HMG、フェルティノームなどが商品名)を使います。これには主にFSH(卵胞を刺激して成長させる作用)と同じ働きがあります。これを生理の初日を1日めとして3から5日めから開始します。1〜2週間毎日注射を続けます。注射をして1週間目くらいから、膣からの超音波検査をおこないます。超音波検査で卵胞の大きさが20mm前後になったら、HMGの注射をやめて、HCGという注射を1回うちます。このHCGには下垂体からでるLHと同じような働きがあります。つまり、この注射をうつとLHサージが起きるのと同じ状態になるので、HCGを注射した翌日に排卵が起こります。
これらの作用は内服薬よりも強力なので、排卵する確率は非常に高くなります(60〜90%くらい)が、多胎(20%)や卵巣過剰刺激症候群(内服薬の項目参照)の確率も、内服薬に比べてかなり高くなります。
注射による排卵誘発では排卵するまで毎日病院にいかなくてはいけませんし、その分費用もかかります。また、保険が適用される回数も最高で10回まで(地域により少し差があるかもしれませんが)と決まっており、卵胞の成長が遅い場合は、自費になることもあります。
どのように注射の量や種類を決めていくかについては病態や病院の考え方によって変わってきますが、基本は一緒です 。
2)下垂体性の排卵障害:内服薬による排卵誘発は効果がありませんので、最初から注射による排卵誘発をおこないます。
3)卵巣性の排卵障害:視床下部や下垂体からたくさんの命令が出ているのにも関わらず、卵巣が反応しない状態です。一般的な治療による排卵誘発は困難な場合が多いです。
まず、エストロゲン(卵胞から出るホルモン)とプロゲステロン(黄体から出るホルモン)を通常のホルモン状態と同じパターンになるように内服します。つまり最初の10〜12日はエストロゲンのみ服用し、その後の10〜14日はエストロゲンとプロゲステロンの療法を服用します(カウフマン療法といいます)。そうすると前半は排卵前の状態、後半は排卵後の状態と同じようなホルモン状態になります。薬を飲み終わると数日して生理がきます。これを3〜6ヶ月繰り返します。その後に、薬をやめて卵巣の状態を確認します。
カウフマン療法を終了した後、卵胞が発育してくれば、卵胞の成長を膣からの超音波検査で確認しながら妊娠をトライしていきます。
この時点で卵胞が成長してこなければ、治療は困難な可能性があります。偽閉経療法といって子宮内膜症や子宮筋腫の治療に使うような薬(GnRHaといいます)を1ヶ月以上使って、その薬をやめた後の卵巣の状態を確認したり、その薬を使いながら注射による排卵誘発をおこなったり、数少ないチャンスをものにするために体外受精をおこなったり、また卵巣の状態を確認するために腹腔鏡検査をおこなったりします。
4)高プロラクチン血症による排卵障害>>>こちらへ
5)多のう胞性卵巣症候群による排卵障害>>>こちらへ |