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排卵障害
生理不順や不妊症の原因となる排卵障害について説明しています。

 
 排卵障害とは
point: 排卵障害とはホルモンの異常に伴って卵胞(卵を入れている袋)が成長しない状態です

 生理が始まると卵巣の中に卵胞という卵を入れている袋がいくつか出現します。このうち1つの卵胞だけが、日が経つにつれて大きくなります。十分に卵胞が大きくなると、卵胞から卵が飛び出します。これを排卵といいます。卵胞が大きくなるためにはいろいろな場所からの命令が必要です。右の図に示したように、脳の中にある視床下部というところから脳の下にくっついている下垂体というところにホルモン(FSH, LH)を出せという命令が行きます。命令を受けた下垂体がLH,FSHというホルモンを出します。これらのホルモン(とくにFSH)が卵巣を刺激して卵胞が大きくなります。卵胞が大きくなると、そこからエストロゲン(いわゆる女性ホルモン)が出てきます。このエストロゲンの量がある一定の基準を超えると視床下部が反応して、下垂体にLHを一気に出しなさいと命令します。こうして出た大量のLH(LHサージといいます)によって排卵が起こります。

排卵とホルモン
  排卵障害とは、このような命令のどこかがおかしくなっている状態です。ちなみに排卵障害があってもエストロゲンの作用で子宮内膜は厚くなり、厚くなった内膜が途中から剥がれ落ちるので、生理がないとは限りません(無排卵周期症といいます)。ですが、エストロゲンも出ない状態の時は生理がなくなります(無月経)。
 排卵障害の原因
  排卵が生じるには前項で示したような流れが必要となりますので、そのどこかで機能が低下していると排卵障害になります。したがって排卵障害は
  • 視床下部性の排卵障害 >>>治療
  • 下垂体性の排卵障害 >>>治療
  • 卵巣性の排卵障害 >>>治療

に分けられますが、これらはエストロゲン(卵胞からのホルモン)も低下していることが多く、通常生理がなくなります。その他の原因として

というものがあります。これらは生理があることが多いです。それぞれ原因によって治療法が異なります。

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 排卵障害の診断
point: 排卵障害があるかどうかは基礎体温をみれば、ほとんど予測がつきます

  排卵で卵が飛び出した後の卵胞は黄体というものに変化して、今度はエストロゲンだけでなく、プロゲステロンというホルモンを出し始めます。このホルモンは体温を上げる作用があります。したがって、排卵しているかどうかは、基礎体温を見ればほとんど診断がつきます。
  補助的に超音波検査、血液中のプロゲステロンの測定なども行うことがあります。
排卵と基礎体温
  以上の検査で排卵障害が疑われれば、ホルモン検査などで原因を調べていくことになります(ホルモン負荷試験(ホルモンの注射をして決まった時間毎に何回か採血をする検査)などがおこなわれます)。
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 排卵障害の治療

  原因によって治療法が異なります。(料金はあくまで目安です。超音波検査をした時は、その分高くなります)

1)視床下部性の排卵障害:まず、内服薬による排卵誘発を行い、効果がなければ注射による排卵誘発をおこないます。

a) 内服薬による排卵誘発(保険を使っての自己負担分:5日間分の処方をしてもらって500〜1000円程度)

point: 内服による排卵誘発は生理の5日めから5日間服用します。薬は一回病院にもらいにいけば済みます。
  クロミッド(フェミロン、オリフェン、スパクロミン、セロフェン)という薬を使います。生理の初日を1日めと数えて、5日めから5日間服用します。通常1日1錠から開始して、効果をみながら増やしていきます。一応、1日2錠まで使用可能とされていますが、2錠で効果がなければ1日3錠を服用することが多いです。
  どのように作用するかというと、視床下部というところはエストロゲンの濃度を感じとっていて、エストロゲンが足りないと下垂体へ命令を送って、もっとエストロゲンがでるようにと卵胞を成長させるホルモン(FSH)をたくさん出させます。クロミッドはこのエストロゲンを感じとる部分を鈍らせます。エストロゲンが足りないと勘違いした視床下部は、がんばって下垂体に命令を送り続けます。結果的に下垂体からのホルモン(FSH)が増えて卵胞が成長します。
  この薬にはエストロゲンをじゃまする働きもあり、その結果子宮頚管の粘液が水っぽくなりにくかったり、子宮内膜が厚くならなかったりと、妊娠に対して不利に働くこともありますので、そうなっていないか確認しながら続けるかどうか決めていきます。また、複数の卵が排卵することもあり、双子などの多胎の確率が少し高くなります(4%)。排卵誘発の刺激が強すぎて卵巣過剰刺激症候群という副作用が生じることもあります(内服薬のみでの排卵誘発ではめったに起こりません)。卵巣過剰刺激症候群というのはエストロゲンが過剰になって、お腹や胸に水がたまってしまう状態で、ひどいと呼吸が苦しくなることもあり、入院が必要となります。
  より排卵を確実にするためにHCGという注射を組み合わせることがあります(注射による排卵誘発を参考にして下さい)。
  もう1種類セキソビットという同じような作用を持つ薬剤があります。飲み方はだいたい一緒ですが、1日4−6錠を生理の5日めから5−10日間と クロミッドよりも長めに服用出来ます。長いからといってクロミッドよりも排卵しやすくなるわけではなく、むしろクロミッドより排卵させる力は弱いとされています。そのため、セキソビットを使用することは少ないと思います。ただし、前述したようにクロミッドにはエストロゲンをじゃまする働きがあり、子宮頚管の粘液や子宮内膜に影響して妊娠しにくくなってしまうことがありますが、セキソビットはそのような働きがクロミッドに比べて、とても少ないです。したがって、少しの刺激で排卵するような方は、むしろセキソビットの方が好ましいと思われます(クロミッドはだいたいどこにでもありますが、セキソビットをおいている病院はあまり多くはありません)。
内服薬による排卵誘発 注射による排卵誘発
a) 内服薬による排卵誘発 b) 注射による排卵誘発
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b) 注射による排卵誘発(保険だと1回800〜2000円程度(HCGの時は300〜600円程度)、自費だと2500〜7000円程度)
point: 注射による排卵誘発は生理の3−5日めから排卵するまで、ほぼ毎日病院に通わなくてはいけません。

  卵胞を成長させるために、ふだん下垂体からでているホルモンと同じ働きを持つ注射を使います。最初にHMGという注射(ヒュメゴン、パーゴナル、HMG、フェルティノームなどが商品名)を使います。これには主にFSH(卵胞を刺激して成長させる作用)と同じ働きがあります。これを生理の初日を1日めとして3から5日めから開始します。1〜2週間毎日注射を続けます。注射をして1週間目くらいから、膣からの超音波検査をおこないます。超音波検査で卵胞の大きさが20mm前後になったら、HMGの注射をやめて、HCGという注射を1回うちます。このHCGには下垂体からでるLHと同じような働きがあります。つまり、この注射をうつとLHサージが起きるのと同じ状態になるので、HCGを注射した翌日に排卵が起こります。
  これらの作用は内服薬よりも強力なので、排卵する確率は非常に高くなります(60〜90%くらい)が、多胎(20%)や卵巣過剰刺激症候群(内服薬の項目参照)の確率も、内服薬に比べてかなり高くなります。
  注射による排卵誘発では排卵するまで毎日病院にいかなくてはいけませんし、その分費用もかかります。また、保険が適用される回数も最高で10回まで(地域により少し差があるかもしれませんが)と決まっており、卵胞の成長が遅い場合は、自費になることもあります。
  どのように注射の量や種類を決めていくかについては病態や病院の考え方によって変わってきますが、基本は一緒です 。

2)下垂体性の排卵障害:内服薬による排卵誘発は効果がありませんので、最初から注射による排卵誘発をおこないます。

3)卵巣性の排卵障害:視床下部や下垂体からたくさんの命令が出ているのにも関わらず、卵巣が反応しない状態です。一般的な治療による排卵誘発は困難な場合が多いです。
  まず、エストロゲン(卵胞から出るホルモン)とプロゲステロン(黄体から出るホルモン)を通常のホルモン状態と同じパターンになるように内服します。つまり最初の10〜12日はエストロゲンのみ服用し、その後の10〜14日はエストロゲンとプロゲステロンの療法を服用します(カウフマン療法といいます)。そうすると前半は排卵前の状態、後半は排卵後の状態と同じようなホルモン状態になります。薬を飲み終わると数日して生理がきます。これを3〜6ヶ月繰り返します。その後に、薬をやめて卵巣の状態を確認します。
  カウフマン療法を終了した後、卵胞が発育してくれば、卵胞の成長を膣からの超音波検査で確認しながら妊娠をトライしていきます。
  この時点で卵胞が成長してこなければ、治療は困難な可能性があります。偽閉経療法といって子宮内膜症や子宮筋腫の治療に使うような薬(GnRHaといいます)を1ヶ月以上使って、その薬をやめた後の卵巣の状態を確認したり、その薬を使いながら注射による排卵誘発をおこなったり、数少ないチャンスをものにするために体外受精をおこなったり、また卵巣の状態を確認するために腹腔鏡検査をおこなったりします。

4)高プロラクチン血症による排卵障害>>>こちらへ

5)多のう胞性卵巣症候群による排卵障害>>>こちらへ

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