筋肉は糖をエネルギーに変えて動きます。したがって筋肉は糖を消費することで血糖を下げることができる主要な組織になります。運動中はもちろん糖が下がりますが、運動が終わった後も運動によって筋肉内に足りなくなった糖を補充していくので運動後も数時間は糖は上がりづらくなります。
脂肪も筋肉のエネルギー源になります。したがって運動によって体の脂肪を減らすこともできます。効率よく脂肪を減らすためには、あまり激しくない運動を長時間行うのが効果的です(有酸素運動)。激しい運動では脂肪をエネルギーとしてあまり利用してくれないからです。脂肪が減るとインスリンが効きやすくなりインスリン抵抗性が改善することで血糖が下がりやすくなります。筋肉の性質も変化し、同じ筋肉量でも糖を多く取り込んでくれるようになります。また筋肉量が増えれば、血糖は下がりやすくなるだけでなく、基礎代謝量も上昇するため太りづらくなります。(肥満・ダイエットのページも参照してください)
ただし、体の状況によっては運動によって体調が悪くなってしまうことがあります。次に当てはまる方は運動をしてよいのかどうか、医師に確認する必要があります。
運動が危険な方・運動する前に医師に確認する必要がある方
- 血糖コントロールが不良
- 血圧が高い
- 糖尿病性の合併症(網膜症、腎障害、神経障害)がある
- 大血管障害の疑いがある(心臓、脳など)
- 膝・腰に痛みがある
なお、これらに当てはまらなくてもかかりつけの医師によく相談してから運動するようにして下さい |
1型糖尿病; 治療のために運動を行わなければいけない、ということはありません。インスリンはエネルギー源である糖が筋肉に取り込まれるのに必要であす。また運動によってふだん以上に糖が筋肉に取り込まれやすくなり血糖も低くなりやすくなります。したがって1型糖尿病の方では運動する時でもインスリン注射を中止してはいけませんが、注射の量の調整は必要になります。また一定時間毎に軽食を補充する必要もあります。インスリン調整と軽食の補充を行えば、どんな運動でも行うことができます(ただし、合併症の存在によっては運動の制限が必要になることがあります。)
2型糖尿病; 体の中で最もエネルギーを消費するのは足の筋肉です。腕で数十キロの荷物を運ぶのは大変ですが、足は歩くだけで数十キロの体を何回も上げ下げしていることになります。つまり歩くことが最も効率のよい運動なのです。
具体的には毎回食後に30分くらい歩くのが理想的で、それだけで約9000歩になります。目標は1日1万歩(約400kcal)です。薬やインスリンを使用していなければ食前の運動でもかまいませんが、薬やインスリンを使用している場合は食前の運動は低血糖の危険がありますので、主治医に相談してから行うようにするとよいでしょう。またふだんあまり動いていない方は急な運動量の増加は体に負担となりますので、まずは今の歩数より1日から数日かけて1000歩ずつ増やしていくとよいでしょう。肥満者では歩行により膝や腰に負担がかかり痛みが生じることがあります。そうなると、運動も出来なくなり逆効果となりますから、歩行よりも水泳や自転車などが勧められます。ペットボトルなどを持ってテレビなどを見ながら腕を振り続けるのも効果があります。
運動による消費カロリーの目安(体重60kgの場合)
| 30分で80kcal |
散歩 家事 買物 |
| 20分で80kcal |
歩行 入浴 階段(下り) ラジオ体操 自転車 ゴルフ |
| 10分で80kcal |
ジョギング 階段(上り) バレーボール テニス |
| 5分で80kcal |
マラソン なわとび バスケットボール 水泳 |
(糖尿病運動療法指導の手引き 南江堂より)
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