1)原因
甲状腺の組織を攻撃するような物質(甲状腺自己抗体)が体の中に出現します。この甲状腺自己抗体によって甲状腺の組織が崩壊していくことが慢性甲状腺炎の原因になります。
なぜ甲状腺自己抗体が出現するかは不明ですが、他の自己免疫性疾患(自分の体を攻撃してしまう物質が出来てしまう病気の総称)と合併することが多く、遺伝的なものも原因の一つではないかと考えられています。
なお、この病気は女性の10人に1人が持っている非常にありふれた病気ですが、症状がなく甲状腺の腫れにも気づきにくいために、本人は知らずに過していることが多いと思われます。 |
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2)症状・診断
甲状腺が全体的に腫れてきます。大きく腫れると自分でも気づくようになり、頚部の違和感が感じられることもあります。甲状腺機能が低下すると甲状腺機能低下症の症状が出現します(甲状腺機能低下症とはを参照してください)。しかし、慢性甲状腺炎の方で甲状腺機能が低下するのは一部の方だけです(3−15%)。一度、甲状腺機能が低下して再度回復することもあります。
出産後に甲状腺機能が異常になることがあります。この場合甲状腺機能は亢進症も低下症も生じる可能性があります。ほとんどは一時的なものですが、なかには治療が必要なこともあります。なお、慢性甲状腺炎がある時に生じる甲状腺機能亢進症はほとんどが無痛性甲状腺炎です。
甲状腺が腫れていて、血液検査で甲状腺自己抗体が存在すれば慢性甲状腺炎の診断になります。超音波検査で甲状腺の腫れや甲状腺の形がいびつになっていることも参考になります。
3)治療
ほとんどの方は治療は必要ありませんが、以下の時には治療を行います。
- 甲状腺機能が低下した時:
甲状腺ホルモンを補充します。チラージンという薬を毎日1日1回服用します。甲状腺機能が低下している間は服用し続けなければなりません。適正な量ではほとんど副作用の無い薬です。
- 甲状腺の腫れが気になる時:
美容的に頚部の腫れが気になる時は甲状腺ホルモンを少量補充して、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑える治療を行うことがあります。
- 無痛性甲状腺炎が生じた時:
症状がそれほどつらくなければ、治療はいりませんが、症状が強い時にはβブロッカーというタイプの薬を使用して症状を軽くすることができます。
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